【KAIT産学官連携メルマガ】応用化学生物学科特集(その2)(2025年2月21日号)

※本メールマガジンは、神奈川工科大学(KAIT)が主催するシンポジウム等に参加された方、展示会等で名刺交換させていただいた方、関係機関の方々に配信しております。
※配信先の変更・停止をご希望の方は、末尾をご参照ください。

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 目次
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【1】新着ニュース
【2】YouTube「神奈川工科大学 研究推進機構チャンネル」
【3】研究・技術シーズ紹介(応用化学生物学科)
 ●高分子界面科学の技術を利用したナノカプセルの開発
 ●海産無脊椎動物の生殖や発生の研究
 ●環境水の新規評価方法の開発
 ●非可食性バイオマス資源からのイソプレンの生産
 ●新しく作られた蛍光タンパク質の最適化
 ●金属ナノ粒子の合成と吸着剤、触媒への応用
 ●リモネン誘導体の合成研究
 ●ヒダントイン誘導体の新規合成法の開発
 ●軸索輸送による神経細胞の恒常性制御とその神経変性疾患への関与
 ●酵素法による食品中に含まれるヒスタミンの高感度測定法の研究
 ●抗菌性高分子ゲル材料に関する研究

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【1】イベントのお知らせ
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●2025/3/17(月)「KAIT-WOMEN’s FORUM 理系女子の未来をひらく~機械・情報分野の先駆者との懇談会~」開催
「研究の楽しさ&キャリアの築き方」、「理系女子ならではの挑戦と成長」、「未来の未術と私たちの可能性」をテーマに、本学工学部機械工学科の小机わかえ教授と、情報学部情報ネットワーク・コミュニケーション学科の岡崎美蘭教授による講演を交えた懇談会を行います。女性研究者の先駆者としての経験をうかがう貴重な機会となります。ぜひご参加ください。
詳しくは➡https://www.kait.jp/events/2947.html

●2025/4/4(金) 第三回リサーチデー開催
神奈川工科大学を訪れ、研究室をのぞいたり、研究者と直接話ができるイベントです。
産学連携コーナーもございます。
ぜひお越しください。
詳しくは➡https://cp.kanagawa-it.ac.jp/event/2769.html
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【2】YouTube「神奈川工科大学 研究推進機構チャンネル」
    https://www.youtube.com/@KikouKAIT
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今号の動画は、
2024年4月に行われたリサーチデーの紹介動画です。
さまざまな学科の研究の様子を垣間見ることができます。ぜひご覧ください。
https://youtu.be/dfJUCfPuL5c?feature=shared

機構のX(旧Twitter)はこちらへ
https://x.com/KikouKAIT

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【3】研究・技術シーズ紹介
  《特集》応用化学生物学科 
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●高分子界面科学の技術を利用したナノカプセルの開発
食品高分子化学研究室 教授 清水秀信

食品・医薬品・化粧品などの分野に、生理活性や抗酸化性などの機能を有する分子を活用していくためには、実際に使用される環境下において、これらの分子が機能発現できるためのカプセル化技術が必要とされています。われわれの研究グループでは、ナノサイズの高分子微粒子内にこれらの機能性分子を分子分散させる技術を構築しました。現在までのところ、タンパク質や水に溶けにくい機能性成分などを20wt%以上の高濃度でカプセル化できる手法として、ミニエマルション法やin situ重合法が有効であることを見出しています。これらの手法はいずれも、溶解または分散しているカプセル化分子存在下で重合を行うことにより、簡便にナノカプセルが得られることが特徴です。
https://www.kait.jp/research/navi/shimizu.html
http://shimizu.biokait.jp/


●海産無脊椎動物の生殖や発生の研究
繁殖生態学研究室 准教授 柴田大輔

生物は一般に配偶子である卵と精子を用いて有性生殖を行いますが、配偶子を伴わない無性生殖も存在し、生物は子孫を残すために様々な生殖戦略を持っています。配偶子形成や受精がどのように起こり、それによって生じた胚が複雑な形態や機能を持つ成体にどのように成長していくのかを調べることで、生物の発生への理解を深めることに繋がります。海産無脊椎動物は地球上の海洋生物の種数の70%以上を占めると言われており、さらに多様性にも富んでいます。本研究室では、海産無脊椎動物の発生や生殖様式に着目し、生殖戦略に関する研究を行っています。
https://www.kait.jp/research/navi/shibata.html


●環境水の新規評価方法の開発
環境と生体影響研究室 教授 高村岳樹

環境水の汚染物質の評価を目的として、種々の化学スペシエーション分析方法を開発しています。また遺伝子組み換え微生物等を用いたバイオアッセイ、有用個体を用いた毒性試験、水生生物の遺伝子の多様性などを評価項目に加えた、環境水の総合的な評価方法を開発しています。
https://www.kait.jp/research/navi/takamura.html


●非可食性バイオマス資源からのイソプレンの生産
微生物工学研究室 教授 仲亀誠司

非可食性バイオマス資源とは、光合成により炭素固定ができる食べられない動植物のことであり、例えば、木材や草が該当します。非可食性バイオマス資源は、化石燃料と比べて、CO2排出量が少ない輸送用燃料や化成品原料の製造(バイオリファイナリー)のプロセスの構築が可能であるため、CO2排出量の削減を目的とした非可食性バイオマスからの有用物質の生産が広く研究されています。当研究室では非可食性バイオマスから合成ゴムの原料であるイソプレンの製造を目的として、非可食性バイオマスの分解能の高い担子菌(キノコ)にイソプレン合成遺伝子を導入した形質転換体の作製とその利用を行っています。
【技術シーズ】
https://cp.kanagawa-it.ac.jp/files/25e6aa4dae2556506241c8f307b3e53e.pdf
https://www.kait.jp/research/navi/nakagame.html


●新しく作られた蛍光タンパク質の最適化
時空間細胞生物学研究室 教授 村田 隆

下村脩博士のノーベル賞に象徴されるように、緑色蛍光タンパク質(GFP)を用いた細胞標識技術は現代の生物学の重要技術の一つであり、現在でも波長、明るさ、光安定性などの改良が続いています。しかし、改良された蛍光タンパク質を実際の研究に使うためには、蛍光タンパク質遺伝子を標識したいタンパク質の遺伝子につなぎ、生きている細胞に導入して評価し、接続の最適化を行わなくてはなりません。我々は細胞分裂に必須なチューブリン遺伝子や、細胞の増殖に必要な他の遺伝子を用いて最適化を行っています。蛍光タンパク質とチューブリン等の間をつなぐリンカー配列の最適化の結果、染色体、動原体、紡錘体などを多重標識して長時間3Dライブイメージングすることに成功しています。
https://www.kait.jp/research/navi/murata.html
https://sites.google.com/view/kait-muratalab/


●金属ナノ粒子の合成と吸着剤、触媒への応用
無機材料化学研究室 教授 村山 美乃
数個から数百個の原子の集まりをナノ粒子といいます。金属は通常、特有の光沢がありますが、ナノ粒子にすると金では赤色、銀では黄色に見えるなどの異なる性質を示します。色の変化以外にも、ほかの化合物の吸着性や反応性が高まることがあり、私たちはこのような特性をもつ金属ナノ粒子を合成して、食品の不快臭を除く吸着剤や環境にやさしい触媒反応に応用しています。
https://www.kait.jp/research/navi/murayama.html
https://www.kait.jp/tech_news/post_10.html


●リモネン誘導体の合成研究
有機材料研究室 教授 森川 浩

リモネンは、非可食のバイオマス原料であり、柑橘製品加工の際に副産物としてとれるリモネンを有効利用できれば、とても意義深いとなります。また、リモネンなどのモノテルペン類は、それ自身でも抗菌性・抗炎症能などの生物活性があり、さらには、種々のジテルペン・セスキテルペン誘導体の原料物質として重要です。リモネンは、分子内に二重結合を二つ有しており、この反応性を巧みに利用することで、種々の機能団の導入が期待でき、生物活性的な側面からも、合成化学的な側面からも大変重要です。以上の視点から、リモネンを原料とした新規誘導体(低分子化合物)の合成を行っています。  
https://www.beilstein-journals.org/bjoc/articles/15/13
https://www.kait.jp/research/navi/morikawa.html


●ヒダントイン誘導体の新規合成法の開発
有機合成化学研究室 教授 山口淳一

ヒダントイン誘導体は、医薬品フェニトインに代表されるように中枢神経に作用する化合物群です。当研究室では、これとは別の構造をもつ新しいヒダントイン誘導体を合成し、抗がん活性を示す事を明らかにしています。このように大きな可能性を秘めたヒダントイン類ですが、新しい作用を見つけ、明らかにするには、新しい構造の化合物を創り出さなければなりません。新しい構造の化合物を創るためには、新しい合成法の開発が不可欠になります。当研究室では研究目的の1つとして、「ヒダントイン誘導体の新しい合成法」を開発することをターゲットにしています。すなわち、簡便かつ汎用性の広い合成法を世に出すのが目的です。
https://www.kait.jp/research/navi/yamaguchi.html


●軸索輸送による神経細胞の恒常性制御とその神経変性疾患への関与
神経生物学研究室 准教授 山下直也

私たちが物事を感じ、考え、覚えたりできるのは、脳の中に850億個もの神経細胞がいるからです。神経細胞の殆どは生まれる前に作られ、一度作られた神経細胞は再生できません。従って、生涯にわたり神経細胞を正常に維持し続けることは、健康寿命の延伸に繋がります。当研究室では、軸索輸送と呼ばれる脳内の宅配システムに着目し、軸索輸送が正確に働くことで健康な神経細胞が維持される機構と、宅配システムの異常が神経疾患発症と関連することについて研究しています。既にアルツハイマー病(AD)関連分子の軸索輸送において新しい知見を見出し、これを基にしたADの診断、予防、治療に向けた応用研究にも取り組んでいます。
【技術シーズ】 https://cp.kanagawa-it.ac.jp/files/8402ba0a63dd9fcff8e3564e9919d27e.pdf
https://www.kait.jp/research/navi/yamashita.html


●酵素法による食品中に含まれるヒスタミンの高感度測定法の研究
酵素工学研究室 准教授 山村 晃

ヒスタミンは主に魚介類の腐敗が生じる過程で生成され、その摂取によりアレルギー性食中毒を引き起こすことがあります。このため食品中のヒスタミン濃度の測定は品質管理上重要とされ、ヨーロッパなど海外ではヒスタミンの基準値が設定されています。本研究室では、ヒスタミンオキシターゼを産生する菌を土壌から発見し、その酵素遺伝子の増幅及び大腸菌に形質転換した高発現系の構築に成功しており、現在、熱的に安定で長期保存が可能なヒスタミンオキシターゼの産生に取り組んでいます。
https://www.kait.jp/research/navi/yamamura.html


●抗菌性高分子ゲル材料に関する研究
環境高分子化学研究室 准教授 和田理征

水溶性の高分子であるポリビニルアルコール(PVA)は、高含水性、透明性、生体適合性に優れているため、食品分野や医療分野、化粧品分野で注目されています。また、PVAは水に容易に溶けるために成型加工性に優れ、さらには、物理架橋型ゲルおよび化学架橋型ゲルを形成することが知られています。
キトサンは、生体適合性や生分解性を有し、さらには、毒性がなく、安全性の高い天然多糖高分子です。また、分子鎖にアミノ基を有することから、抗菌性を示すことが知られています。生体適合性に優れたPVAとキトサンを組み合わせる方法を検討することにより、菌やカビなどの温床といわれるウェットな状態で増殖を抑えられるゲル材料が出来ると考えられます。本研究では、抗菌性を有するゲルフィルムの開発とその特性に関する研究に取り組んでいます。
https://www.kait.jp/research/navi/wada.html
http://wada.biokait.jp/

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