産学官連携メールマガジン(特集:情報メディア学科)
(●:新規、◎:更新、○:再掲)
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【1】研究・技術シーズ紹介(特集:情報メディア学科)
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◎音と人・社会をつなぐ研究
応用音響工学研究室 准教授 上田麻理
当該研究室では、音という媒体を通して人や社会にかかわる様々な事象について、幅広く研究を行っています。例えば、厚木市との地域連携による防災行政無線放送の聴こえに関する研究、高齢者や難聴者の聴こえをサポートする研究、視覚障害者を音で誘導するための音の研究、超音波領域の聴覚のメカニズムの解明に向けた音響シミュレーションと音響計測、音声コミュニケーションに関する研究や駅や空港の快適な音環境づくり、低周波音の問題解決のための研究などです。 企業や他大学、国研、海外の大学との共同研究やプロジェクトも盛んに行っています。近年では世界で活躍する日本人プロスポーツ選手が発する音と動きの解析、eスポーツ、ビッグデータとしてのヒトデータ構築のための簡易聴力検査システム開発、AIを用いたオンライン試験監視システムの開発など、聴覚・音・情報をキーワードとして社会の情勢やトレンドをいち早く捉えて成果を発信しています。
https://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_media/academic/ueda.html
〇日本発のキャラクター制作を中心とした研究と新しい作り手の育成
総合キャラクタ&エンタテインメントメディア研究室 特任教授 梶研吾
最近の学生諸氏のエンターテイメントメディアにおける研究対象として、YouTubeや2.5次元舞台、韓流アイドル等への興味は想像以上のものがあります。 当研究室としては、そのようなリクエストにも対応する形で、以前にも増して、エンターテイメントメディア研究において"テーマ撰択にいっさいの制限を設けない"ことを主軸にしています。メジャーなメディアやジャンルに限定せず、マイナーなものへの研究にも対応しています。
また、制作系に関しては、引き続き、映像制作や絵本制作、小説制作や脚本制作を行っています。加えて、声優や俳優志望の学生諸氏も来研究室の機会があるため、演技者養成的なプログラムにも力を入れていく方向で進めています。
https://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_media/academic/kaji.html
○姿勢推定技術を用いた動きの解析
画像処理・画像認識研究室 教授 春日秀雄
近年、AIによる姿勢推定技術が発達し、カメラから人の姿勢や動きを容易に取得できるようになりました。この技術を利用して、動きの違いを分析・識別する研究を行っています。ひとつがキーボード打鍵時の指の動きから個人認証を行う技術の研究、もうひとつがスポーツにおける動作の解析です。個人認証技術としては、マルチモーダル生体認証と呼ばれる複数の生体認証方式を組み合わせる手法が一般的になりつつあります。この動作の個人差を利用する技術の開発は、本人認証をより強固にする技術として期待できます。スポーツにおける動作の解析に関しては、eスポーツまで範囲を広げて人の動作の解析を進めています。
http://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_media/academic/kasuga.html
○メディアコンテンツにおける効果的なサウンドの研究
サウンドコンテンツメディア研究室 准教授 黒川真毅
映画、ゲーム等のメディアコンテンツにおいて、臨場感や感情などの表現にサウンドの役割は大きいですが、コンテンツそのもののコンセプトやデザインを壊さないことも重要です。そのための、役割を踏まえた効果的なサウンドとはどういったものなのか研究し制作しています。コンピュータとソフトウェアの発達により、コンテンツの表現内容も変化し続けているなかで、「コンピュータによるサウンド制作技術の研究」、「サウンドコンテンツの音響表現技術の研究」、「次世代音楽音響システムの研究」など、コンピュータを中心とした音楽音響の分野でありつつ、楽器や音響機器も応用して、音による新しい表現を開拓していくことを目指しています。
https://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_media/academic/kurokawa.html
〇モバイル、xR技術の異分野応用を軸に
モバイル・xRコンピューティング研究室 准教授 酒井雅裕
近年は「モバイル、xR技術の異分野応用」を柱に研究テーマを展開しています。VRに関しては理学療法士(埼玉県立大)と脳血管障害時のリハビリシステムを開発しました(特許6375328号)。その他には企業と地質調査結果の可視化にVRを応用する他、セマンティックセグメンテーションを応用した岩盤亀裂の検出システムなども開発しています。また臨床心理士・スポーツメンタルトレーニング指導士と認知行動療法のモバイル自習システム
も研究しました(科研2課題)。 学生の卒研テーマは研究系であれば特に制限を設けず、広く取り組むことにしました。例えば「AIを用いたイラストの巧拙判別の研究」などユニークな提案も多く、学生とともに学び研究することを目指しています。
https://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_media/academic/sakai.html
○3DCGアニメーションにおける誇張表現研究
ビジュアルコンピューティング研究室 教授 佐藤 尚
アニメーションやビデオゲームの中に出てくるキャラクタなど動きは、物理的な計算を用いることで再現できると思われるかもしれません。アニメーションなどの中のキャラクタなどの動きの中には、誇張表現と呼ばれるような、単純な物理計算だけからでは説明のできない動きが含まれています。歌舞伎における見えのようなものを思い浮かべていただければ良いかもしれません。以前、アニメーションは手書きによる作業で作られてきました。最近では、アニメーション制作の現場にもデジタル化の波が押し寄せてきており、3DCGによる映像を利用してアニメーションを作ることも増えてきました。私の研究室では、誇張表現の分類や自動的に動きに誇張表現を付け加える方法などの研究を行っています。
https://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_media/academic/sato.html
〇創作活動に3DCGゲームを加えることの効果分析
インタラクションデザイン研究室 准教授 鈴木 浩
ワークショップには確立された評価手法がなく、実施したワークショップをいかに評価するかが課題とされています。本研究室では、ワークショップアセスメントの一手法として、ワークショップでの活動履歴と、Webサイトへのアクセス履歴を利用した評価手法の確立を目指しています。具体的には、ワークショップで利用したデジタル機器の活動履歴や作品画像のデータと体験者のWebサイトへのアクセス回数や、アクセス時間、作品のアップロード、コンテンツの使用履歴などのログデータを利用し、本ワークショップが体験者にどのような影響を与えているかを比較・分析することによって、ワークショップを定量的に評価することを試みています。
https://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_media/academic/suzuki_hi.html
●楽器と音楽の音響に関する研究
音響シミュレーション研究室 教授 西口磯春
楽器の物理モデル音源の研究、楽器の開発、演奏技術に関する研究、音楽や音響の知覚に関する研究等を行っています。物理モデル音源に関しては、楽器の音の出るしくみをコンピュータシミュレーションにより再現することにより、実際の楽器音に忠実な音源を実現できる可能性があります。最近ではローズピアノ音源のプラグインを開発しました。また、楽器の開発に関しては、14世紀頃に誕生したクラヴィコードと呼ばれる鍵盤楽器の発音原理を用いた電気鍵盤楽器(登録商標:Neovichord 特許第6803062号)を開発しており、ジャズピアニストHakuei Kim氏のCD等で聞くことができます。現在、更にピッチ変化を大きくする機構の研究を行っています。音楽や音響の知覚に関しては、人間の音の知覚特性の観点からジャズ理論を検証する研究などを行っています。
https://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_media/academic/nishiguchi.html
https://www.youtube.com/watch?v=RRFlwZT0QX4
◎不可視光画像を利用した分析技術の応用
可視光と不可視光の画像処理・認識技術研究室 教授 西村広光
人間は可視光の限られた帯域しか視認できませんが、ICT技術を活用すれば、認知できる光の帯域を広げ、処理結果を人間が活用することができます。 可視光カメラだけでなく、中・遠赤外線を写すサーモカメラや近赤外線を写すカメラ、さらには紫外線を写すカメラを活用した画像分析技術の応用研究を進めています。赤外線照射時のみ見える署名認証技術や、コピー鍵をも見破る紫外線高精度鍵識別技術や、紫外線によるコンクリート硬化度合いAI診断や、体表面温度からの感情分析など、今まで可視光ではできなかった分析技術を構築してきました。 今まで接触センサや人間の経験によって見極めてきた対象物の状態変化を、可視光+不可視光の画像分析技術を応用し、最新のAIやデータサイエンス技術を活用して多方面で応用できる技術を開発しています。
https://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_media/academic/nishimura.html
〇SDCGと香りVRの相乗効果
コンピューター・グラフィックス研究室 教授 服部元史
2021年4月からも客員研究員として「香りVR」を研究つづけておられる坂内祐一元教授の研究グループで、嗅覚ディスプレイを更に改良しております。嗅覚ディスプレイ流路で空気流が芳香気体を輸送しユーザーの鼻元まで届ける現象を、数値流体力学でシミュレーションしながら、嗅覚ディスプレイを設計し直し制作を続けております。 Head Mount Displayが各家庭へ行き渡りつつある近年から、嗅覚ディスプレイが各家庭に行き渡る将来に向けて、研究・開発を重ねております。 香りとグラフィックスとの相乗効果、つまり、嗅覚情報と視覚情報との相乗効果など、感覚器官への基礎研究にも力を入れて参ります。
詳しいことは https://researchmap.jp/read0042933 から、坂内グループの英語解説や論文を参照くださいますようお願い致します。
https://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_media/academic/hattori.html
〇映像コンテンツの制作技術と様々な分野でのプロデュース
映像メディア表現研究室 教授 福本隆司
映画、テレビからゲーム、ネット動画、はたまたVR(仮想現実)・AR(拡張現実)や360°映画…と、どんなに技術が進歩し視聴環境が様々に変わろうが、“映像コンテンツをつくる”という基本的な仕組みが大きく変わるわけではありません。一方で、CGのリアルタイムレンダリング技術は、ゲーム開発だけでなく、映像コンテンツの設計段階から制作段階まで活用されはじめています。基本的な作り方を工学的に分析し新しい技術を取り込んでいくことで、映像コンテンツの表現の幅を拡げ、制作効率を上げる方法論を確立していきたいと考えています。こういった方法論はエンターテインメント分野に限らず、産業分野や科学分野におけるビジュアライゼーションにも活かせるはずで、それぞれの分野での実証とプロデュースを目指しています。
https://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_media/academic/fukumoto.html
○仮想世界と現実世界の重ね合わせのための裸眼3Dディスプレイ
デジタル3Dシステム研究室 教授 谷中一寿
ミクストリアリティ(複合現実、MR)は、現実世界とCGで作られた仮想世界とを重ねる技術です。従来のMRでは、利用者はヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着する必要があるので、手元での作業が難しく負担が大きい問題があります。そこでHMDなどの特殊なメガネを装着することなしに現実世界と仮想世界とを重ね合わせるため、インテグラルフォトグラフィ(IP)と呼ばれる、横だけでなく縦方向にも視差を生ずる理想的な裸眼3D映像表示方式を用いる研究をしています。特にIPの一種で,かつて谷中が提案した拡張フラクショナルビュー方式を用いれば、既製のフライアイレンズが使えるので,安価で高品質なIPが実現できます。
https://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_media/academic/yanaka.html
〇画像処理・認識技術の医療応用
画像処理応用・医用情報処理研究室 助教 山内俊明
2010年に米国MITのメディアラボによって発表されたMedical Mirrorは、従来の無侵襲生体信号計測の歴史に新しい1ページを付け加えました。なぜなら、顔の動画像からリアルタイムに心拍数を推定することを可能にしたからです。その立役者は安価な高精細カメラと複雑な演算処理を高速に行うPCです。一般にヒトの心拍数は、1分間の拍動数で表現されます。1拍ごとに心拍数に換算してみると、安静時であっても揺らいでいます。このゆらぎの高周波成分と低周波成分の比率は自律神経系の賦活状態を反映しているとされ、長く研究されてきました。一方、ヒトの疲労が上述の比率と相関があることもわかってきました。そこで、顔の動画像から疲労を推定・評価できないか検討しています。
https://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_media/academic/yamanouchi.html
●誰もがWell-beingになれる世界を目指して
生活支援メディア研究室 教授 渡部智樹
当研究室の目標は、意識しなくても自然と身も心も健康になれるWell-beingな世界を実現することです。健康のために取るべき行動変容や思考について理解していたとしても、常にそれを意識して実行することは難しいものです。そこで、そのような行動や思考を意識しなくても負担を感じずに自然と適切に導いてくれる生活支援メディアの研究に取り組んでいます。この研究では、日常生活において人の外面的・内面的な状態を身の回りにあるIoT機器を活用して的確に捉える技術、また人の認知特性を考慮した上で、視覚や聴覚に加えて嗅覚や触覚も用いてさりげなく人を適切な行動や思考へと導く技術の創出を目指して進めています。
https://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_media/academic/watanabe.html
●メディア芸術における表現の研究
メディア芸術表現研究室 准教授 村上寛光
メディア芸術は歴史の中では新しいジャンルの為、常に新しい技術やメディアが誕生する中で、それに合わせたコンテンツの企画が求められています。映画やアニメーション・漫画・ゲームなどのメディア芸術において、作品として成立させるためにはどのような伝え方、演出をすれば観客に伝わる作品となるか、コンテンツ制作の技術や技法がどのような表現としての役割を持つかなどを研究しながら制作を行っています。制作現場では伝統的なアナログ制作からデジタルに移行していますが、改めてアナログならではの表現も見直されています。それぞれの利点を活かしながらも、新しい技術との組み合わせた新規性のある表現を目指しています。
https://www.kait.jp/ug_gr/undergrad/info_science/info_media/academic/murakami.html