【KAIT産学官連携メルマガ】機械工学科特集(2024年3月15日号)

※本メールマガジンは、神奈川工科大学(KAIT)が主催するシンポジウム等に参加された方、展示会等で名刺交換させていただいた方、関係機関の方々に配信しております。
※配信先の変更・停止をご希望の方は、末尾をご参照ください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 目次
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【1】新着ニュース
【2】研究・技術シーズ紹介(機械工学科) 
 ●ロボット機構のキネマティクス
 ●超音波振動援用技術を用いた難削材の高精度研削・切削加工
 ●心地よいヒューマン-マシンインターフェイスの開発
 ●塗料を用いた防除雪氷対策の構築と検証
 ●深層学習による画像認識
 ●宇宙機の航法誘導制御
 ●計測結果に基づいた実用的交通流物理モデルの開発と高速道路交通流での評価
 ●燃焼の数値シミュレーションによる燃焼排出物の評価
 ●ターボ圧縮機に発生する非定常流動の予知・制御に関する研究
 ●超音波による工具接触圧力分布測定法に関する研究
 ●炭素繊維強化複合材料の損傷評価と非破壊検査方法に関する研究
 ●デザイン科学と破壊学に関する研究

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【1】新着ニュース
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■「第2回リサーチデー」を開催します(2024年4月5日)
https://cp.kanagawa-it.ac.jp/event/1907.html

イベントチラシはこちらからご覧いただけます。
https://cp.kanagawa-it.ac.jp/wp-content/uploads/ReserchDay2024.pdf

★プレスリリース★
8K-3D生配信映像ワークフローをオンライン上で行う実証実験に成功 22.2ch音声伝送と組み合わせたイマーシブ空間も実現
https://cp.kanagawa-it.ac.jp/press/1946.html


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【2】研究・技術シーズ紹介
  《特集》機械工学科 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●ロボット機構のキネマティクス
ロボット機構学研究室 教授 有川敬輔

本研究室では、キネマティクス理論をベースとして、非定型的な構造を持つ様々なロボット機構の研究開発を行っています。例えば、テンセグリティ構造(棒材とワイヤーで構成される構造)とパラレル機構を組み合わせたロボットアームは、構造自体を折りたたむことが可能となっています。また、複数の動作モードを有する流体駆動のマニピュレータは、バルブ操作によって基本運動学特性を変更することが可能となっています。この他、ロボット機構のキネマティクス理論を応用し、タンパク質をはじめとする生体機能分子の運動解析の研究にも取り組んでいます。
https://www.kait.jp/research/navi/arikawa.html

●超音波振動援用技術を用いた難削材の高精度研削・切削加工
精密加工研究室 准教授 今井健一郎

切削や研削において、被削材の強度、硬脆性、耐熱性等は難削性に直結します。しかし、これらの機械的特性は材料としては有用です。本研究では、どうしたら加工を容易に行えるのかを実験的に試みています。例えば、研削ホイールの半径方向に超音波振動を援用する研削法では、ホイール作用面の砥粒を材料に衝撃的に働かせることで砥粒1つ1つの材料除去能力を高められると考えています。しかし、この高周波の方法では材料の除去機構の解明が難しいため、模擬的にダイヤモンドバイトを砥粒に見立てた低周波の振動援用切削加工を行い、除去機構の解明も目指しています。
https://www.kait.jp/research/navi/imai.html

●心地よいヒューマン-マシンインターフェイスの開発
振動システム実験室 教授 川島 豪

 人の生活空間に機械が入るにつれ、危険を避けるために機械の不調などを素早く察知する必要があります。そこで本研究室では、振動や揺れの「ゆらぎ」に注目、どのような振動や揺れを用いれば心地よいヒューマン-マシンインターフェイスを構築できるのか明らかにしています。自然界の心地よいゆらぎに関しては、武者利光先生が「1/fゆらぎ」を提唱しています。しかし、「1/fゆらぎ」を人工的に創っても必ずしも心地よくありませんでした。そこで、その他の要因を究明するため、心地よく歩行している時の体の揺れを測定して周波数分析し、AIによりどのような特徴を用いて判別しているのか確認しています。この研究により多くの情報を心地よく伝達可能になることを期待しています。
https://www.kait.jp/research/navi/kawashima.html

●塗料を用いた防除雪氷対策の構築と検証
空気力学研究室 教授 木村茂雄

航空機の冬期運航における航空機翼面への着雪氷は、空力性能の低下や失速等を誘発し、安全航行上の障害となります。このような着氷雪防止策としては、加熱法(電気ヒータ等)と物理化学法(塗料等)がありますが、この両者併用による対策の提案・実装はなされていません。本研究では、こうした観点から、電気ヒーターによる加熱法と超撥水性塗料による表面性状改質の組み合わせによる方式を提案しました.このアイデアはEU-Japan共同研究(JEDI-ACE Project)で検証され,その後JAXAとの共同研究でNASA(Glenn研究所)にて実証試験を実施しました.また,「気象影響防御技術コンソーシアム(WEATHER-Eyeコンソーシアム)」においてさらなる開発に取り組んでいます。
https://www.kait.jp/research/navi/skimura.html
https://cordis.europa.eu/project/id/314335
https://fanfun.jaxa.jp/jaxatv/files/20160407_aero.pdf

●深層学習による画像認識
構造動力学研究室 教授 小机わかえ

近年、AI(人工知能)が注目されています。小机研究室では以前からニューラルネットワークを使った、欠陥同定や構造同定を試みていましたが、今回のAIブームでは、基本アルゴリズムがニューラルネットワークを発展させたものであることに着目して、音声認識や画像認識にAIのアルゴリズムを構成する深層学習を応用することを試みました。昨年度は、深層学習を用いて比較的画数の多い漢字の認識、自動運転に利用できる道路標識の認識に挑戦しました。認識率は、85%から95%です。漢字認識ではかなり良い結果が得られました。今年度は、深層学習を用いて、絵画の認識及び人間の顔の認識を行いました。いずれもそれなりの結果は得られましたが、汎用性を得るまでには至りませんでした。使用するデータ量やコンピュータの限界と考えられます。
https://www.kait.jp/research/navi/kozukue.html

●宇宙機の航法誘導制御
宇宙機制御工学研究室 教授 照井冬人

宇宙開発は地球周回の人工衛星、宇宙ステーションから月面着陸機、月面車、さらには惑星、小惑星に接近、着陸する小惑星探査機まで、その活動範囲と内容を広げつつあります。それらを総称した「宇宙機」が、画像を撮って地球に送るなどの観測、着陸して物質を採取して地球に持ち帰るサンプルリターンなど、事前に計画した目的が達成できるように、自分の位置・姿勢を求める「航法」、自分の位置・姿勢をどのような軌道で動かすかを決定する「誘導」、誘導で決めた通りに自分の位置・姿勢を動かす「制御」の研究を行っています。具体的なプロジェクトとしては、地球にカプセル投下後の現時点でも飛行中である小惑星探査機はやぶさ2が近年中に別の小惑星の近くを通り過ぎる(フライバイ)際に自分の姿勢を振って小惑星を撮像するための姿勢制御手法の設計・解析を行っています。
https://www.kait.jp/research/navi/terui.html

●計測結果に基づいた実用的交通流物理モデルの開発と高速道路交通流での評価
流体物理工学研究室 准教授 中根一朗

交通渋滞の発生は、CO2 の排出増加や国・地域の経済損失を伴います。交通流のシミュレーションは様々なモデルが提案されていますが、高速道路渋滞で見受けられるような自然渋滞への相転移とその解消を実用レベルで定量的に予測することはできていません。本研究では、交通流の計測結果から車両挙動の普遍性・相似性を見出し、自然渋滞への相転移とその解消(逆相転移)を予測できる物理モデルを提案するとともに、数値シミュレーションを利用して、天気予報のように、交通渋滞の発生・解消の予報をナビゲーションシステム等に発信するシステムの構築を目指しています。
https://www.kait.jp/research/navi/nakane.html

●燃焼の数値シミュレーションによる燃焼排出物の評価 
燃焼工学研究室 准教授 林 直樹

二酸化炭素や窒素酸化物など燃焼器に由来する温暖化物質や大気汚染物質の低減は喫緊の課題です。本研究では、数値シミュレーションにより噴霧燃焼や水素燃焼など様々な燃焼場に対して、その排出物特性や火炎の特性の解明を目指しています。
https://www.kait.jp/research/navi/hayashi.html

●ターボ圧縮機に発生する非定常流動の予知・制御に関する研究
熱流体工学研究室 准教授 萩野直人

ジェットエンジンやガスタービンで使用されているターボ圧縮機は出口を絞るとサージや旋回失速などの非定常流動が発生します。サージは圧縮機の軸方向、旋回失速は周方向の流れの自励振動であり、発生すると性能低下だけではなく圧縮機を含む管路系を破損させる恐れがあります。これらの非定常流動の発生前に圧力や流速に前兆が現れる場合があることが知られています。しかしながら、その発生過程はサージ・旋回失速の併発を含め不明な点が数多くあります。そこで本研究ではサージ・旋回失速の前兆現象を捉え,それらが大きく成長する前に検出し抑制制御を行う技術の開発を目指しています。
https://www.kait.jp/research/navi/hagino.html

●超音波による工具接触圧力分布測定法に関する研究
生産システム研究室 助教 水野敏広

塑性加工では、被加工材・工具間の接触圧力を測定する方法として、従来側圧ピンや感圧紙等が用いられていますが、これらの方法は、測定のために何らかの形で接触面の状態及び性質を変化させますので、本来目的とする接触圧力を測定できないという欠点があります。そこで、本研究では、材料と工具の接触境界面に超音波が垂直入射すると、接触圧力の大きさに依存して超音波の反射特性が変化することに着目し、接触圧力と超音波の反射特性の相関関係から接触圧力を定量的に測定する方法の構築に取り組んでいます。
https://www.kait.jp/research/navi/mizuno.html

●炭素繊維強化複合材料の損傷評価と非破壊検査方法に関する研究
動的設計研究室 助教 吉岡孝和

炭素繊維強化プラスチック(CFRP)をはじめとした炭素繊維強化複合材料は、軽量で比強度、比剛性や耐環境性に優れ、幅広い分野で適応が拡大しています。しかし、衝撃や疲労による層間剥離などの内部損傷は、目視では確認することは困難であり、また強度や剛性を大きく低下させます。従来、X線や超音波などの非破壊検査法が用いられていますがコストや適応限界の問題があります。本研究では、炭素繊強化複合材料の衝撃による損傷評価に関して成果報告を行ってきました。現在は、炭素繊強化複合材料の損傷による機械特性の変化と電気特性の変化の関連性を検討し、新たな非破壊検査法の開発を行っています。
https://www.kait.jp/research/navi/yoshioka.html

●デザイン科学と破壊学に関する研究
構造デザイン研究室 教授 渡部武夫

切り紙構造の応用やフラードーム構造、CLT技術を用いた木質化構造など、様々な構造物、構造様式を対象に、デザイン科学的、構造・材料力学的アプローチで研究を実施しています。また、異分野の専門家とも連携し、機械的な破壊が創出する価値に着目した「破壊学」の研究を学際的に展開しています。
https://www.kait.jp/research/navi/twatanabe.html

******************************
『研究・技術シーズ紹介』の内容や各種技術相談等、各種お問い合わせ
※お問い合わせカテゴリにて「共同研究・受託研究・研究機関に関すること」を選択してください。
https://www.kait.jp/contact/

【メールマガジン配信先変更・配信停止について】
https://cp.kanagawa-it.ac.jp/mailmagazine
******************************

==============================
メールマガジンの企画・編集・配信元
学校法人幾徳学園
神奈川工科大学 研究推進機構 研究広報部門
〒243-0292 神奈川県厚木市下荻野1030
e-mail:liaison@kait.jp

研究推進機構ウェブサイト
https://cp.kanagawa-it.ac.jp/
==============================

(C)2024 Kanagawa Institute of Technology. All Rights Reserved.