【KAIT産学官連携メルマガ】自動車システム開発工学科(2023年11月10日号)

※本メールマガジンは、神奈川工科大学(KAIT)が主催するシンポジウム等に参加された方、展示会等で名刺交換させていただいた方、関係機関の方々に配信しております。
※配信先の変更・停止をご希望の方は、末尾をご参照ください。

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 目次
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【1】新着ニュース
【2】KAIT機構チャンネル『「歩行者と協調する知能モビリティ」と「自動運転ロボカー」の実演』
【3】研究・技術シーズ紹介(自動車システム開発工学科)
 ●電動レーシングカートERK:Electric Racing Kartの開発
 ●オフセットローラー曲げ加工(低周波振動付与による加工限界の改善)
 ●車両運動と車体姿勢を独立に再現するドライビングシミュレータの開発
 ●上部集熱式熱サイホン
 ●V2X通信技術を活用した次世代測位技術
 ●次世代充電技術の研究開発
 ●ネットワーク情報共有型AIモビリティの研究
 ●主観的な「運転しやすさ」を客観的に数値化して評価する手法の確立と標準化
 ●モビリティ・リサーチ・キャンパスの構築

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【1】新着ニュース
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■イベント開催:神奈川工科大学 研究フォーラム
 「“大学の力”ができること~地域産学公連携のこれまでとこれから~」
https://cp.kanagawa-it.ac.jp/event/1632.html

■CEATEC2023に出展しました
https://www.kait.jp/news/post_15.html

■ICETC2023において情報システム学科吉野 和芳教授がベストプレゼンテーション賞を受賞
https://www.kait.jp/news/post_11.html

■二酸化炭素で環境問題を解決する!?
 ―超臨界二酸化炭素によるマイクロプラスチック分別の研究―
https://www.kait.jp/tech_news/2525.html

■ティーチングアシスタントロボットの開発
 ―自分のペースで質問できる、答えてもらえる世界―
https://www.kait.jp/tech_news/post.html

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【2】YouTube「神奈川工科大学 研究推進機構チャンネル」
https://www.youtube.com/@KikouKAIT
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今号の動画は、自動車システム開発工学科 脇田敏裕教授が研究を進める『「歩行者と協調する知能モビリティ」と「自動運転ロボカー」の実演』です。
※第1回リサーチデー(2023年3月31日開催)でのオープンラボ紹介動画です。
https://youtu.be/ABacCJB7CRk

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【3】研究・技術シーズ紹介
  《特集》自動車システム開発工学科 
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●電動レーシングカートERK:Electric Racing Kartの開発
モータースポーツ工学研究室 准教授 岡崎昭仁

喫緊の課題である地球温暖化対策のために自動車、モビリティの電動化が急進展しています。電動車両はエンジン車両と比較して構成はシンプルに見えますが、電動システムのパッケージ技術、電池の寿命予測など課題は多いです。本研究室では、高速かつ高負荷、加えて軽量でコンパクトさが求められるERKの電動化を行うことで、主に小型モビリティの電動化技術開発を行っています。開発中のERKは、廉価な電動機とインバータを使用し、オリジナルな安全装置を組み込んだジャンクションボックスを搭載し、レースという過酷な環境下で電池の寿命予測技術開発などを推進しています。将来的に小型モビリティ用電動システムとして市場供試を目指して日夜研究開発に取り組んでいます。
https://www.kait.jp/research/navi/aokazaki.html


●オフセットローラー曲げ加工(低周波振動付与による加工限界の改善)
モータースポーツ工学研究室 助教 加藤俊二

電気自動車等のアルミニウムスペースフレームに用いられる形材の曲げ加工は自動車の設計に合わせて、軸方向に曲率を変えて曲げる必要があります。そのための加工法として、スペースフレームをガイドローラーに通し、オフセットされたローラー(曲げローラー)に当て、曲げを行う加工法を提案しており、曲げローラーの位置を変えることにより、曲率を変えることができます。曲げ加工中に被加工材に生じる断面変形および曲げ内側のしわを低周波振動の加工力を付与することにより低減できることを実験的に明らかにし、加工限界の改善がはかれることを示しました。付与する低周波振動の周波数、振幅を変えて断面変形およびしわの抑制効果への影響を検討しています。
https://www.kait.jp/research/navi/kikuchi.html


●車両運動と車体姿勢を独立に再現するドライビングシミュレータの開発
車両運動・制御研究室 助教 狩野芳郎

一般的なドライビングシミュレータは、車両に発生する加速度を6軸リンクによる並進運動と傾斜により模擬するので、実車とは体感が異なります。そこで、本研究では6軸リンクに加えてリニアレールとヨーリングにより前後左右の車両運動と車体姿勢を独立して再現できるドライビングシミュレータを開発しました。これにより、走行中の車両姿勢がドライバーに与える影響について、ドライバパラメータ同定手法と生体反応計測等を用いて明らかにしています。
https://www.kait.jp/research/navi/yamakado.html


●上部集熱式熱サイホン
ソーラービークル研究室 助教 川口隆史  

太陽熱を利用する熱サイホンの研究を行っています。外部電源を使わずに熱移動できる熱サイホン、特に屋根の上に設置した太陽熱集熱器から地上に熱エネルギーを移動することを目的にした上部加熱式(トップヒート式)熱サイホンに注目し、構造が比較的簡単な蒸気泡ポンプ方式により実証実験を行ってきました。この方式は1970年代より研究され、プレハブのモデルハウスに設置した熱サイホンにより高低差4mの循環を実現するとともに小規模の発電ができることを実証しました。しかし屋外に設置したモデルハウスによる実証実験では、朝や夕方の太陽熱が少ない状況において、熱の移動、すなわち作動流体の循環が間欠的となる問題が残されています。この間欠的な流動は太陽熱集熱器での突沸等システム故障の原因となります。安定した熱移動を実現するため、エナジーハーベストによる電力を用いた制御システムを開発しています。現在、制御を実現するために管内圧力を下げることを提案し、小規模な実験装置で作動流体の間欠的な循環を安定化できることを確認しました。今後、実機レベルでの運用を目指します。
また、競技用ソーラーカーの機器類の温度や振動を中心とする耐環境性能についても調査を進めています。
https://www.kait.jp/research/navi/tkawaguchi.html


●V2X通信技術を活用した次世代測位技術
コネクテッド・モビリティ研究室 教授 菊池典恭

V2X(Vehicle-to-Everything)通信は、車両とその周囲の環境との間の情報交換を可能にする技術です。この通信技術を利用して、高精度な位置情報を取得する測位技術が注目を集めています。V2X通信の電波を用いた測位は、従来のGPSよりも高精度で迅速に位置情報を取得することが可能です。都市部などの高い建物やトンネル内など、GPSの受信が難しい場所でも、V2X通信を利用することで正確な位置情報の取得が期待されます。さらに、車両同士の相対的な位置関係や速度、方向などの情報もリアルタイムで交換することができるため、交通事故の減少、交通流の最適化、駐車場の効率的な利用など、多岐にわたる利点をもたらします。本研究室では安全かつ効率的な交通環境の実現のため、V2X通信を活用した測位技術の研究を進めてまいります。
https://www.kait.jp/research/navi/kikuchi.html


●次世代充電技術の研究開発
電動システム研究室 教授 クライソン トロンナムチャイ

地球温暖化対策のために電気自動車(EV)の更なる普及が強く望まれており、例えば欧州連合(EU)は2035年までにハイブリッド車を含めたガソリン車の新車販売を事実上禁止すると発表しています。一方、現在のEVの航続距離はまだ十分ではなく、航続距離を延ばすために多くのバッテリーを積んでいます。その結果バッテリーの充電時間が長いという課題があり、超急速充電、ワイヤレス給電、走行中給電、電池交換など数多くの提案がなされています。しかしバッテリーの性能が不足していたりインフラが整っていなかったりしているためにいずれの提案も一長一短があって決定打がない現状にあります。本テーマではEVの本格普及を目指して新たな充電技術を研究開発しています。
https://www.kait.jp/research/navi/throngnumchai.html


●ネットワーク情報共有型AIモビリティの研究
知能モビリティ研究室 助教 小宮聖司

AI自動運転や障害物回避等各種機能と作業目的を持ったモビリティがそれぞれ取得した情報をクラウド上で共有し相互活用することで統合された効率的なモビリティ運用を目指しています。
また、自動運転技術は、自動車事故低減、公共交通の充実、物流現場における人手不足解消、Maas等社会からの期待が大きく、さらなる技術向上と普及が重要となっている事から、車両製作、回路配線、運動制御、自動運転を総合的に実習・修得できるよう、自動運転学習支援教材の開発と実践を行っています。
https://www.kait.jp/research/navi/wakita.html


●主観的な「運転しやすさ」を客観的に数値化して評価する手法の確立と標準化
車両運動・制御研究室 教授 山門 誠

自動車の微妙な操舵特性の違いを実際のドライバのレーンチェンジ動作データを基に、ドライバと近い運転動作を行う単純化したデジタルツインのドライバモデルを構築し評価しています。このドライバモデルは、「前方予見時間(τ(タウ)h)」「ゲイン(h)」「遅れ時間(τL)」 という3つのパラメータで表現でき、このうちこれまでの研究からτLが大きいほど運転しやすい車であることが実証されています(ドライバが遅れて操作してもタスクがこなせる)。直近では株式会社エッチ・ケー・エス様との共同研究で、車体の微小振動を低減するパフォーマンスダンパー(R)の評価にこの手法を用いた結果を自動車技術会春季学術講演会で発表し、複数のメーカから問い合わせを受けています。今後とも、複数のカーメーカ、サプライヤとともに、「運転しやすい」クルマの開発を続けていきます。
https://www.hks-global.com/news/220322.pdf
https://www.kait.jp/research/navi/yamakado.html


●モビリティ・リサーチ・キャンパスの構築
知能モビリティ研究室 教授 脇田敏裕

自ら考えて行動するモビリティたちが学内を動き回り、生活や学びを豊かで楽しい物にします。そんな未来への実験が「KAITモビリティ・リサーチ・キャンパス」です。通信技術や情報技術など高度なインフラを備えたキャンパスの中で、さまざまな役割を持ったモビリティたちが日々考え、行動します。学生や教職員はモビリティを使い、触れ合い、見守られると同時に、自ら新たなモビリティ作りに挑戦し、キャンパスで実験することができます。研究成果は広く情報発信すると同時に社会実装を行っていきます。
現在、落葉清掃、荷物運搬、校内見守り、学内回転ライドなどの自律走行車両の原理試作が完了し、今年度より随時運用を開始していきます。
https://www.kait.jp/research/navi/wakita.html
https://www.kait.jp/topics/atrc/report07.html


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