【KAIT産学官連携メルマガ】臨床工学科特集(2023年9月13日号)

※本メールマガジンは、神奈川工科大学(KAIT)が主催するシンポジウム等に参加された方、展示会等で名刺交換させていただいた方、関係機関の方々に配信しております。
※配信先の変更・停止をご希望の方は、末尾をご参照ください。

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 目次
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【1】新着ニュース
【2】KAIT機構チャンネル「リンパ管の可塑性を制御する生理活性物質の疾患治療への応用」
【3】研究・技術シーズ紹介(臨床工学科) 
 ●人間の動作・行動の計測と特徴化
 ●医療情報を利用したAI(深層学習)による予測モデル構築に関する研究
 ●情報処理システムでの高度なエネルギー供給を目指して
 ●適切な医療支援を目指すロボットシステム
 ●体外循環が血液に与える影響に関する研究
 ●医療従事者のタスク遂行におけるヒューマンファクタ研究
 ●体位変換が循環動態に及ぼす影響とその調節に関する研究
 ●呼吸中枢出力と換気量の研究
 ●難治性疾患の克服を目指したリンパ管・リンパ組織の可塑性の研究と新規治療法の開発
 ●皮膚接触を利用したコミュニケーションに関する研究
 ●血液浄化療法における操作技術の標準化に関する研究
 ●テーピング施術が生体の諸機能にどのような影響をもたらすのか

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【1】新着ニュース
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■ECHONET Lite AIF仕様の国際規格が発行されました(蓄電池・HEMSコントローラ間:ISO/IEC14543-4-302)
https://www.kait.jp/news/2483.html

■情報学部上田准教授が中国新聞で超音波の聞こえ方について解説しました
https://www.kait.jp/news/2488.html

■情報メディア学科 定國伸吾研究室の「もじ・モジ・じっけん」が、キッズデザイン賞を受賞しました
https://www.kait.jp/news/2501.html

■最新研究情報:災害に負けない安心な生活を目指して ―共助体制が欠かせない時代に―
https://www.kait.jp/tech_news/2476.html

■最新研究情報:色々変化で新技術への夢が広がる! アズレン誘導体の魅力
https://www.kait.jp/tech_news/2495.html

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【2】YouTube「神奈川工科大学 研究推進機構チャンネル」
https://www.youtube.com/@KikouKAIT
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今号の紹介動画は、臨床工学科 馬嶋正隆特任教授が研究を進める「リンパ管の可塑性を制御する生理活性物質の疾患治療への応用」です。
※第1回リサーチデー(2023年3月31日開催)でのオープンラボ紹介動画です。
https://youtu.be/RuBYeU-su6U

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【3】研究・技術シーズ紹介
  《特集》臨床工学科 
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●人間の動作・行動の計測と特徴化
人間センシング研究室 准教授 大瀧保明

実験室外の利用ニーズ、特に健康・医療の要請に対する人間計測と評価の方法を研究しています。医療機器の操作や手指の運動のように部分の動きを評価するもの、筋骨格や身体内外の力学的な相互作用を考慮するもの、また日常生活動作や移動など集団のなかの個体の行動を評価するものがあります。機器や身体に取り付けるセンサと共に、計測の状況に適応した信号処理や補正の方法について、さらに安定性や巧みさといった性質をデータからどう定量化するか検討しています。その場で何が必要とされており、どう評価したら良いのか、バイオメカニクスや生体信号の知見を背景に、現場に即したセンシングや数値解析による方法の提案を目指しています。
https://www.kait.jp/research/navi/ohtaki.html

●医療情報を利用したAI(深層学習)による予測モデル構築に関する研究
臨床工学医療情報研究室 助教 川崎路浩

患者自身の医療情報や治療によって蓄積される医療情報は、デジタル化社会において膨大な量となってきています(ビッグデータ)。そのデータを医療機関の協力を得てAI、特に深層学習という技術を利用して、例えば血液透析治療における血圧低下予測や人工心肺中のヘモグロビン値の予測などをおこなう、「予測モデル」の構築に挑んでいます。現在は、2種類のモデルが完成して、それぞれのモデルの精度確認やパラメータ調整をおこなっています。このモデルを医療現場で利用することができれば、医療の質の向上や医療従事者の負担軽減に寄与できると考えています。
https://www.kait.jp/research/navi/kawasaki.html

●情報処理システムでの高度なエネルギー供給を目指して
情報システム電力変換工学研究室 教授 河口進一

医療機器や情報端末、サーバ計算機の中では沢山の演算処理が高速に行われるために多くの電力が消費されます。機器の中の演算ユニットの電力負荷は低電圧、大電流かつ急激な負荷変動を伴う厳しい特性を持つと言われています。演算ユニットに対して安定かつ高効率な電力供給を行うためには、情報処理でどのように電力が消費されるのか細かく知る必要があります。さらにそれらの知見を活かし、演算ユニットでの電力消費を短時間かつ正確に予測して、最適な電力供給制御を可能とする新たな高効率電源システムが求められます。高精度な予測を行うためには、ディープラーニングニューラルネットワーク技術等の応用も有効です。このように情報処理での新たな効率的電力供給方式の研究により省電力化を促進し、脱炭素社会実現への貢献を目指しています。
https://www.kait.jp/research/navi/skawaguchi.html

●適切な医療支援を目指すロボットシステム
医療支援ロボットシステム研究室 教授 金大永  

近年、外科支援ロボットの話をよく耳にするようになりました。特に内視鏡を使った手術の場合、狭い空間での正確さが必要となり、ロボットならではの長所を活かすことが可能になります。本研究室では、「外科医やロボットがやってはいけない動作をするときに適切な負荷をかける」ことで低侵襲医療へ導ける医療支援システムを目標とし、生体計測を基盤としたロボットシステムの研究を行っています。特に最近力を入れているのは、内視鏡下手術において、術中に組織の物性値を計測し、組織に必要以上の力が加わらないように鉗子に適切な制御を行うシステムの開発です。この研究によって、低侵襲手術の完成度が高まると期待しております。
https://www.kait.jp/research/navi/kim.html

●体外循環が血液に与える影響に関する研究
人工心肺制御学研究室 准教授 酒井徳昭

人工心肺装置を用いた体外循環では、血液が高分子医療材料である人工肺や血液回路などに接触することで炎症物質が放出され、全身性炎症反応症候群(SIRS)を招来します。SIRSは血管透過性の亢進を招き、浮腫を引き起こすことが知られており、それはときに重症心不全や重症呼吸不全などを惹起します。医療材料の生体適合性に関する研究は、長年にわたって実施されており、材質やコーティング剤など炎症物質の抑制に成果をあげています。しかしながら、血液回路などの医療材料の形状や、その内圧分布が血球成分に与える影響に関する研究報告は乏しいです。そこで本研究室では、まずは臨床現場から得た人工心肺中のデータを各条件に分類し解析することで、血液に与える影響を調べています。今後は数値流体力学解析を用いて、現場では再現し難い条件や現状の数値解析により、体外循環が血液に与える影響について、検証を進めていきたいと考えています。
https://www.kait.jp/research/navi/nsakai.html

●医療従事者のタスク遂行におけるヒューマンファクタ研究
クリニカルイノベーションマネジメント(CIM)研究室 教授 鈴木 聡

医療機器操作、治療業務オペレーション、医療スタッフ間や患者とのコミュニケーションなどといった、臨床におけるヒトが介在するタスクは数多くあります。一方で人間は間違うことがあることも知られています。業務の仕組みや環境を人間特性に合わせた設計にすることにより、安全性や作業効率などの向上が望めます。本研究室では、様々な職種や知識レベルの異なる医療従事者などが、一定の条件および環境の中で遂行するタスク方略(どのように状況を認識し、行動の計画をたてて作業を遂行するか)に関する研究を行っています。また医療上の作業に対する技能評価や、習熟に関する検討、さらに臨床の組織文化に関する検討を行っています。
これらは視線解析や脳血流変化などの認知に関するデータと、モーションキャプチャなどを用いた動作分析・タスク分析などによるデータを統合的に捉え、人間工学を基盤に臨床業務を改善する研究を中心に行っています。
https://www.kait.jp/research/navi/ssuzuki.html

●体位変換が循環動態に及ぼす影響とその調節に関する研究
生体情報研究室 助教 西村宗修

ヒトは重力の存在下で生活しており、無意識のうちに様々な影響を受けています。例えば、
水平仰臥位から立位へと瞬時に体位変換すると、静水圧勾配によって下肢方向に約500mlの体液がシフトします。この時に、圧受容器反射をはじめとした神経性調節機構が適切に働かないと、脳への供血量が不足して立ち眩みや失神を起こします。このように、姿勢の変化が生体に及ぼす影響は小さくなく、恒常性を維持するための調節機構の働きは、生活の質にも大きく関わります。我々は、様々な姿勢とその変化が循環動態に及ぼす影響、特に血圧調節に関するデータの蓄積と分析を行っています。循環系デコンディショニングに対して臨床的な対策を講ずる際に、必要となる基礎データを供する事を目的に研究を進めています。
https://www.kait.jp/research/navi/hinishimura.html

●呼吸中枢出力と換気量の研究
呼吸管理マネージメント研究室 特任教授 深澤伸慈

例えば、慢性呼吸器疾患の患者さんの呼吸中枢からのドライブ(どのくらい呼吸しようとしているか)を計測することにより、疾患の進行状況や、治療効果、リハビリテーションの効果などを知ることができます。測定方法は吸気最初の口腔内内圧0.1~0.2秒を計測する方法です。換気量は3軸加速度センサを使用します。加速度計を使用することで横隔膜の移動距離が推測されます。また加速度センサにより胸郭の微妙な動きも捉えることができます。吸気流速や肺コンプライアンスなどの必要データを追加することで、非侵襲的に慣用に肺の動きを知る指標となります。まだ人工呼吸器とテストラングでの段階ですが進めていきたいと思います。
https://www.kait.jp/research/navi/fukazawa.html

●難治性疾患の克服を目指したリンパ管・リンパ組織の可塑性の研究と新規治療法の開発
臨床工学科 特任教授 馬嶋正隆

本研究では、リンパ組織の可塑性の変調・不全を基盤として発症する難治性疾患を標的に、治療ツールとしての生理活性脂質の有効性を検討します。具体的には(1)可塑性の基盤となるリンパ管内皮細胞の動態を制御する生理活性脂質を同定し、(2)個体レベルでもリンパ組織の可塑性を制御するか検討します。さらに、得られた成果を基に(3)リンパ浮腫、(4)がんのリンパ行性転移というリンパ組織の可塑性の変調・不全を基盤として発症する難治性疾患の新規治療法開発を試みます。また、(5)生体イメージング手法を用いてリンパ管による脂質循環の破綻が引き起こす代謝疾患の新規治療法を検討します。リンパ組織、炎症をはじめとする疾患の発症、組織再生の場として重要です。リンパ管の存在は100年以上前から明らかにされていたにもかかわらず、本格的に研究が進みはじめたのはここ10年ほどであり、現在も国内外で次々に新しい発見が続くホットな研究領域です。これまで注目されてこなかったリンパ管機能に焦点をあて、関連する疾患発症に関わるメカニズムを解析、治療的介入を進めて来た例は極めて少ない状況です。斬新な研究であり、研究成果が上がれば、その波及効果が大いに期待できる研究取り組みです。
https://www.kait.jp/research/navi/majima.html
https://department-of-medical-therapeutics6.webnode.jp/

●皮膚接触を利用したコミュニケーションに関する研究
ライフサポート工学研究室 教授 松田康広

皮膚接触は、相手との親密さや愛情を表す重要なコミュニケーション手段です。しかし、親しくない相手との間には社会的距離があり、親しくない相手がその距離内に入ると不安を感じます。そこで社会的距離を保ちながら、皮膚接触によるコミュニケーションを行えるような、コミュニケーション補助ツールを開発しています。補助ツールは、ソフトテニスボール2個に穴を開け、ゴム製チューブを接続したもので、一方のボールを握ると、もう一方のボールが膨らむというものです。これまで、ソフトテニスボールのほか、大きめのボールや突起のあるボール、やや小さめのフリーテニスボールなどを使用した補助ツールを製作しています。また、補助ツールのチューブに空気圧変化センサを取り付け、握りによる空気圧変化を計測し、握りで表現された感情を認識するアルゴリズムについても研究を進めています。
https://www.kait.jp/research/navi/matsuda.html

●血液浄化療法における操作技術の標準化に関する研究
血液浄化技術研究室 特任教授 山家敏彦

血液浄化療法は、血液中に存在する病因関連物質を除去することで病態の改善を図る体外循環療法です。内科、外科などの領域を問わず急性・慢性疾患、救命救急治療、難病などに対して極めて広い領域で適応される治療法となっています。血液浄化療法の一つであるアフェ
レシス療法は、日本発の治療方法として1970年代に開発されましたが、世界への普及は、今だ十分ではありません。現在、国内においては、種々の血液浄化器を用いて血液中の病因関連物質を量的、質的に調整する方法が広く普及しています。しかし、血液浄化器を用いたアフェレシス療法の操作手技は、エビデンスに基づく標準化された方法に至っていないことが多く、ガラパゴス化しつつあることが懸念され、世界への普及を遅らせている原因の一つとなっています。操作手技の標準化を実現することは、安全な治療と質の確保に大きく寄与するものです。当研究室では、難治性胸・腹水濾過濃縮法、血液回路内表面構造の違いによる抗血栓性への影響、災害時における血液浄化療法の安全対策などの研究を行っています。
https://www.kait.jp/research/navi/yamaie.html

●テーピング施術が生体の諸機能にどのような影響をもたらすのか
運動生理・健康科学研究室 教授 渡邉紳一

スポーツ傷害の予防を目的としたテーピングはアスリートのみならず、一般の運動愛好家にも広く浸透していますが、施術者の技量や解剖生理学などの知識の有無はその効果に影響をおよぼすとの指摘があります。また、テーピング施術に関するいくつかの参考図書では、自身で施術できるような方法まで記述されています。しかし、「適度な強度で」であるとか「爪が白くならない程度に」などの表現によって、どこまで適切に施術できるのかどうかは不明であり、優秀な指導者に教わるのか否かでその効果には差が生じることが考えられます。
これまで、施術経験の有無が生体の諸機能にどのような影響をもたらすのかについて、主として膝関節に着目して検証してきましたが、そのほかの関節についても検証を進めています。
https://www.kait.jp/research/navi/swatanabe.html

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